月別アーカイブ: 2013年3月

[紹介] 動画「セルフトート・アートに見るアウトサイダー・アートの諸問題」(YouTube)

三年ほど前のYouTube動画ですが、アール・ブリュットの歴史的経緯について参考になるので紹介します。

YOD Galleryが公開しているトークイベントの動画です。
「”セルフトート・アート”に見るアウトサイダー・アートの諸問題」
語り手:服部正氏(兵庫県立美術館学芸員)

[紹介] 鞆の津ミュージアム『極限芸術~死刑囚の表現』展

たいへん話題になっている企画展の紹介です。(フェイスブックとツイッターでは紹介済み。)

http://abtm.jp/blog/195.html

★次回企画展のお知らせ★『極限芸術~死刑囚の表現』
Posted on 2013.03.04
開館一周年記念企画展
極限芸術 〜死刑囚の表現〜

これまで鞆の津ミュージアムでは、既存の美術の外側で表現を続ける人々やその事物にスポットを当て、展覧会を通じてご紹介してきました。

開館一周年を迎えるにあたって、本展で取り上げるのは、死刑確定者による表現です。日本には現在130余名の死刑確定者がいますが、その中には数十年も獄中で「その朝」が来るのを待っている人もいれば、死刑確定から数年のうちに執行されてしまう人もいます。その朝は誰にも告げられることなく、ある朝突然、刑務官から執行の告知がなされ、およそ1時間後に刑が執行されます。

その朝の到来を常に予測して心引き裂かれ、1日毎に寸断される見通しのない時間の中で、しかし、彼らは、過去の自分を見つめ直して内省を深め、あるいは、様々な表現に取り組みながら、社会と全く隔絶された独房の中で日々過ごしています。規則と監視の中、極限の状態に置かれている日本の死刑確定者たちがつくりだす、死刑執行の不安や恐怖、孤独感の中で生まれる絵画。限られた画材を駆使して生み出す彼らの極限の芸術作品は、アートやアーティストという意識をはるかに通り越して、純粋な思いとして描かれています。

本展は、死刑制度の是非について言及するものではなく、美術という文脈で見たときに私たちに「人は、なぜ表現するのか」という大いなる疑問を付きつけられる作品群の展示です。

これまで大きな注目を集めることもなかった彼らの表現を、この貴重な機会に、ぜひご覧ください。

引用元: ★次回企画展のお知らせ★『極限芸術~死刑囚の表現』 – アール・ブリュット 鞆の津ミュージアム

[紹介] 第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ参加アーティストに澤田真一さん

3/13に第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ展の概要が発表されました。

55th International Art Exhibition
The Encyclopedic Palace
1st June > 24th November 2013

The 55th International Art Exhibition will take place in Venice from June 1st to November 24th, 2013 at the Giardini and at the Arsenale (preview: May 29th, 30th and 31st 2013), as well as in various venues the city.

The title chosen by curator Massimiliano Gioni for the 55th International Art Exhibition is: Il Palazzo Enciclopedico / The Encyclopedic Palace. Massimiliano Gioni introduced the choice of theme evoking the artist self-taught Italian-American Marino Auriti that“on November 16, 1955 filed a design with the US Patent office depicting his Palazzo Enciclopedico (The Encyclopedic Palace), an imaginary museum that was meant to house all worldly knowledge, bringing together the greatest discoveries of the human race, from the wheel to the satellite. Auriti’s plan was never carried out, of course, but the dream of universal, all-embracing knowledge crops up throughout history, as one that eccentrics like Auriti share with many other artists, writers, scientists, and prophets who have tried – often in vain – to fashion an image of the world that will capture its infinite variety and richness.”

引用元: La Biennale di Venezia –

 

そのキュレーター挨拶の中で、参加アーティストとして澤田真一さんの名前が挙げられています。

Catalogues, collections, and taxonomies form the basis for many works on view, including J.D. ‘Okhai Ojeikere’s photos, Uri Aran’s installations, Kan Xuan’s videos, Shinichi Sawada’s bestiaries and Matt Mullican’s labyrinths. Pawel Althamer assembles a collective portrait with a series of eighty sculptures.

引用元: La Biennale di Venezia – The Encyclopedic Palace

 

参加アーティスト一覧によると、日本人として掲載されているのは次の3名です。

Shinro Ohtake (大竹伸朗)
Born in 1955 in Tokyo, Japan

Shinichi Sawada (澤田真一)
Born in 1982 in Shiga, Japan

Kohei Yoshiyuki (吉行耕平)
Born in 1946 in Hiroshima Prefecture, Japan

引用元: La Biennale di Venezia – Artists

 

澤田真一さんは「アール・ブリュット ジャポネ展」などでも紹介された日本の代表的なアール・ブリュット作家。作品はGoogle画像検索でも数多く見られます。

日本人に限らずざっとアーティスト名を見ていくと、他にも Anna ZemánkováFriedrich Schröder-Sonnenstern など著名なアール・ブリュット/アウトサイダー・アートの作家が見受けられます。これまで独自の文脈で扱われてきたこれらの作品や作家が、世界で最も権威ある現代美術の国際美術展覧会であるヴェネツィア・ビエンナーレで取り上げられることは、従来的なカテゴライズにも影響を与えていくのではないでしょうか。